園芸をされている方・畑を持たれている方から、ときどきモグラ対策について聞かれますので、今回はモグラについて深堀していきます。
モグラは一生のほとんどを地中で過ごすため、都市部ではあまり見かけません。
体長は約12~19cmほどで、体は茶色~黒色、北海道を除き、本州から九州、四国、尖閣諸島まで広く分布しています。
モグラがいるところでは、モグラ塚と呼ばれる盛り土や、掘った穴が隆起しているので割と見つけやすいです。
モグラによる被害
実は、モグラは肉食動物であり、農作物をそこまで食べません。
しかし、農業においては益虫とされるミミズを食べたり、巣作りのときに農作物の根元を傷つけたりすることで、間接的に被害を与えるため駆除対象になっています。
特に、モグラは大食いで常ににエサを探し求めているので、ミミズなどのエサが豊富な畑や庭に住み着き、巣作りのために土を荒らしまわります。
巣を壊したり、詰め物をしても自力で補修してしまいます。
トンネルを掘る際には、邪魔になるものはすべて取り除き続けるので、進路にある作物の根をゴリゴリ傷つけます。
根の周囲にトンネルを掘られて空間ができてしまうと、根が乾燥し、最悪の場合は枯れる可能性もあります。
さらに厄介なのが、モグラのトンネルを通ってやってくる、ネズミによる二次被害です。
モグラ自身は植物を食べませんが、トンネルが農作物を食べるネズミを導き、畑を荒らします。
駆除対策
モグラは視覚が退化しているかわりに、聴覚と嗅覚が鋭いのが特徴です。
そのため忌避剤を撒いたり、音や振動が出る装置を置くと近づかなくなります。
コストパフォーマンスを意識する場合、トンネルの本道に対策を行う必要があります。
モグラはいつも通る「本道」とたまたま一度通っただけの「支道」をつくります。
見分け方は簡単です。上から15cmほどモグラ道を潰してみてください。翌日に修復されていたら「本道」です。
この「本道」の部分に忌避剤や振動装置をおきましょう。
忌避剤
モグラ専用の忌避剤の使用もいいですが、家庭にあるような次のものでも効果があるとされていますので、手始めに試してみましょう。
・コーヒー
・唐辛子
・ニンニク
・酢
・正露丸
これでもダメな場合は専用の忌避剤や木酢液を試してみてください。
私は多くの害獣に効果が見込まれる木酢液をお勧めしています。
振動機
モグラの押し出しには、ペットボトル風車・風車など地面に定期的に振動を当てえられるものを使いましょう。
作るのが面倒な方は市販のものを使いましょう。
畑の一部をあげてしまう
調べていて、これは秀逸だなと思ったので紹介します。
モグラは縄張り意識が強く、500㎡に1匹が暮らすようなので、その1匹の行動を管理できれば、逆に他のモグラから自分の畑を守ってもらうことが可能です。
毎回追い出す手間を考えると、大変効率が良い方法です。
どのように飼い慣らすかというと、畑から少し離れた場所に、モグラがきたくなるようなミミズなどが大量発生する土壌を作ってしまうというものです。
これにより大きな被害を与えるネズミによる二次災害も事前に防ぐことができてしまいます。
ただ、モグラがきちんと餌場の周辺のみにとどまってくれるかがわからないので、自身の畑と餌場の間には風車や忌避剤を撒いておいた方がいいでしょう。
駆除後の対策
畑の周りの雑草などを取り除き見晴らしよくしておきましょう。
カラス、野良ネコ、イタチ、キツネ、トンビ、フクロウが、ネズミやモグラを補食しやすい環境を整えておけば自ずと足は遠のきます。
モグラの生態
食性
モグラは肉食動物です。10時間ほどの空腹で死んでしまうというとんでもない条件下で生きています。
おもなエサは地中にいるミミズや昆虫、昆虫の幼虫などで、冬も冬眠せず食事を摂り続けています。
モグラが住むトンネル内には餌の保管庫があり、捕まえた餌を大量に保管しています。
行動様式
モグラは光に弱いわけではなく、昼間でも地上で活動でき、実は泳ぎも得意で水中を移動可能です。
胸部の筋肉が非常に発達しているので、踏み固められた土でも抉り取り、地中に潜ることが可能です。
縄張り意識が高く、春の繁殖期をのぞけば、一定の面積に1匹しか生息しないという特性があります。
まとめ
モグラは害獣と言われていますが、実は農作物をそこまで食べず、ミミズや昆虫を捕食する肉食獣です。縄張りの特性などなかなか知られていない事実がたくさんあり、実は畑の近くに住み着かせた方が後々有益かもしれないなど意見が分かれるところがあります。
いずれにせよ一度畑からは追い出す必要があるかと思いますので、忌避剤や振動を使い、それでも難しい場合は行政や業者に相談ください。