起業

起業家のための補助金・助成金の扱い方

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補助金・助成金は原則後払い

起業したいが、貯金が少ないので補助金・助成金を利用したいという話を聞くことがありますが、残念ながら、補助金・助成金は起業資金としては使えません

なぜなら、これらはお金を使ったことを証明して初めて、支払われるものだからです。

起業資金としての大本がないと、最初の支払いさえできませんので、自己資金や銀行融資を確保できてから、補助金・助成金に申し込むことになります。

また、申請が通った後に給付されるまで数か月から1年程度かかります。なので、これらの給付を基に会社の資金繰りをしていくのはできません。

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まれに、補助金・助成金を申請すれば、お金が確保できるという論旨で、起業を煽り、悪質な利率でお金を貸そうとする方々も見かけるので、気をつけてください。

自己資金または日本政策金融金庫からの融資を確保できた人にとっては、役に立つ制度なので、内容をみていきましょう。

補助金・助成金とは

補助金とは

補助金は、経済産業省が管理しており、中小企業を対象に、国の政策にマッチしている事業を行っている会社に対し、設備投資等を補助する制度です。

たとえば、最近話題の「IT導入補助金」では、業務効率を高めるために、ITシステムの導入を図る中小企業に対し、購入費の一部を負担しています。

このように、単純な設備投資費だけでなく、自社サイト作成などのIT関連出費、さらには、販路拡大の展示会費にも使用することができます

ただ、補助金を受け取るには、審査に通過する必要があり、事業計画書の作成等、相応の準備が必要となります。

また、たとえ申請条件が整っていても予算の関係上、受給できない場合があります。つまり、早い者勝ちということです。

さらに、募集期間は、特定の1ヵ月などと限られているため、申請するタイミングが難しいです。

情報感度の高い専門家の発信する情報を常に受け取れる状態にしておくのがベストだと思います。

助成金とは

助成金は、厚生労働省が管理しており、雇用や職場環境の改善を支援する制度です。

少額ですが、時期を問わず、条件を満たせば支給されるので、雇用が発生する企業には大変ありがたい仕組みとなっています。

現状は、正社員、女性労働者、高齢者などの雇用促進に向けて活用されるケースが多いようです。

ただ、助成金の申請条件として、「雇用保険適用の事業主であること」や「適正な財務管理を行なっていること」、「実地調査を受け入れること」などのハードルもあります。

受給額が、それだけの時間と労力を払っても獲得すべき場合に申請しましょう。

さて、ここからは補助金・助成金を使うメリットをみていきます。

補助金・助成金活用のメリット

返済不要

補助金や助成金は、通常の融資と異なり、返済の義務を負いません

受け取ったお金は、会計上、「雑収入」の勘定科目に仕分けされます。

「雑収入」の勘定になるため、法人税の対象になります。

ここで税金を取る理由は、会社側がこれらの受給金を設備・人件費などの経費として使うことで、節税により利益を上げることを防ぐためです。

会社側が2重に得をしてしまわないようにしているのです。

そのかわり、国の規定では「資産の譲渡等の対価に該当しないこと」とされ、消費税の課税対象にはなりません。

融資時の信用力増加

補助金や助成金を受けるためには、国の与信審査を突破しなければならないので、通過することで国に認められたという見えないの価値が付与されます。

他の銀行などに、融資を頼む際に、その価値は勘案され、融資が受けやすくなるというメリットがあるのです。

起業家が押さえておきたい助成金・補助金

創業時に申請できる助成金・補助金4つを紹介していきます。

創業・事業承継補助金

創業補助金は、需要や雇用が見込まれる新たな事業に対して支給される補助金です。

最大支給額が200万円と補助金の中でも高額な部類になります。

事業継承補助金は、経営者の世代交代に伴い、経営改善を実施しようとしている企業が受け取れる補助金となります。

2020年度第1回創業助成事業【募集要項】

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、50万円程度の補助金を受給できるだけでなく、商工会議所の指導も受けられる制度です。

新しいエリアで事業を始める人にとって、事業相談ができる仲間がいることはプラスに働きます。

この補助金を受ける条件として、既に起業しており、かつ、従業員が20名以下であることなどの制約もあります。

また、申込み書類を作成する段階で、前もって、商工会議所等の支援を受け、承認印を貰う必要があります。

日本商工会議所小規模事業者持続化補助金メニュー

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員を、社内で昇進させるときに申請する助成金です。

正社員化だけではなく、職業訓練の実施や賃金規定の改定などのコースが用意されています。

アルバイトとして雇っていた人を社員にしたい場合にも使えます。

キャリアアップ助成金を受ける条件として、事前に対象となる労働者のキャリアアップ計画書を作成し、該当する労働局長から受給資格の認定を受けておく必要がありますので注意してください。

厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金

地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】

地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】は、新規事業にかかるさまざまな経費に対して助成金を受け取れます。

このファンドは、中小企業基盤整備機構と各都道府県の公共団体等が共同出資して設立しています。

地域の農林水産物や伝統技術を使った事業を立ち上げている中小企業を対象としています。

中小機構 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

助成金・補助金を受けるときの注意点

申請時の書類作成の負担は少なくないので、投下する時間と実際に受け取る金額をきちんと比較してメリットがありそうな場合に申請するようにしてください。

また、補助金の場合は、労力をかけたからといって、必ずしも受給できるとは限りません。

というのも、高額な給付が見込まれる補助金は申請者が殺到し、競争も激しくなるからです。

もし、資料作成のために外部の専門家を雇う場合でも、最終的な手取りがプラスになっていることを計算してから頼んでください。

助成金・補助金の受給額は少ないので、自分の稼働時間、従業員の資料作成時給、外部委託費用などを考えていくと、トータルで赤字になったりします。

また、政府出資の助成金・補助金は、複数のものを受給することができないので、複数応募して通過したプロジェクトの中から一番メリットがあるものを選ぶことになります。

補助金・助成金制度の探し方

経済産業省や厚生労働省、さらには県や市のサイトで探していくことになります。

ただ、貴重な稼働時間を補助金・助成金の確認に費やすのももったいないので、知人の専門家に、よさそうな補助金・助成金情報を回してもらえるように事前に根回ししておくほうがいいかと思います。

最後に

起業資金としては使えませんが、事業の運営上で様々なメリットをもたらしてくれる可能性があるので、情報ネットワークだけはきちんと構築しておきましょう。

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