ビジネスモデル事例集

ルンバのビジネスモデル:本質は空間認識と行動設計

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ルンバとは

ルンバは、世界的に人気の高いロボット掃除機で、掃除の手間が大幅に削減されるとしてアイテムとして主婦に評判の一品です。

私も先日母にプレゼントしたのですが、家事に無駄な時間を使わなくて済むと大変喜ばれています。

このようにまだ掃除機の一種としての認識が強いルンバですが、実は、ソフトバンクの「Pepper」などと同様に、人工知能やセンサー技術を駆使し、自律的に作業ができるロボットの一種でもあるのです。

このルンバを作っているのが米国NASDAQに上場しているベンチャー企業であるiRobot(アイロボット)で、1990年にMITのロボット学者によって創設されています。

iRobotの歴史が面白く、彼らが作ったロボットは、火星探査に始まり、ピラミッドの解明、海底調査、紛争地域への陸上ロボットの派遣など、人が立ち入ることができない極地で活用されています。

その過酷な環境で得た知見がルンバに活かされているので、一般的な家電メーカーでは容易に模倣できない商品に仕上がっているのですね。

ルンバが解決する問題

特に現代の共働きの社会では、部屋を毎日掃除する時間はとりづらく、平日は汚れを我慢し、週末の貴重な時間を掃除に投下しなければならないという状況があります。

この「時間」と「ストレス」をルンバが軽減してくれるのです。

特に、掃除しなければいけないという義務感から発生するプレッシャーは、精神衛生上よくないので、私の友達のように毎日部屋の掃除をしなければ気が済まない人にとっては、人生そのものを豊かにしてくれるツールといえるでしょう。

14回のビジネスモデルの失敗

あまり知られていませんが、世界的に影響力を持つiRobotも、かなりの失敗を積み上げて、現在に至っています。

創業者であり、CEOでもあるColin Angleさんは、今の成功に至る前に14個のビジネスモデル失敗を経験していると語っています。

最終的に、下記14個の失敗を組み合わせ、ルンバのビジネスモデルに到達できたと語っています。

特に、3番のロボット玩具からは製造の仕組み、8番のフロアクリーニングから掃除の仕方、11番の地雷撤去からはロボットをいかにコントロールしてより広い範囲を探索させるか、にルンバのビジネスモデルは強く影響されています。

1.月面でのロボットミッションの映画化権販売
2.研究用ロボットを大学等へ販売
3.ロボット玩具でロイヤルティー収入
4.血管から除去用ナノロボットの開発とライセンス収入
5.石油産出をアシストするロボットの販売
6.原子力発電点検ロボットの販売
7.美術館への展示品説明用ロボットの販売
8.フロアクリーニングロボットのライセンス収入
9.スーパー向けのスマートホーム化システムの開発・販売
10.ロボット対戦型エンターテインメント体験の販売
11.地雷撤去ロボットの販売
12.ロボット操作システムのライセンス収入
13.データセンターへのオンライン制御可能ロボットの販売
14.農業ロボットの開発・販売

ルンバのビジネスモデル

単なる掃除機であれば、参入した日本の家電メーカーも市場にもっと食い込むことができたはずです。

ルンバと他の掃除機との違いは何だったのでしょうか。

それは、iRobotが販売しているのは「掃除機」ではなく、「家を効率よく探索して網羅的に掃除をするサービス」である点にあります。

iRobotが想定しているのは、戦場と同様、家にある数多の障害物をかいくぐりながら、家の全エリアを確実に掃除することで、彼らにとっては、障害物で止まったり、掃除途中にバッテリー切れになることは、ありえないことなのです。

つまり、吸引力があっても、汚いところが残ってたら掃除する意味あるの?ということです。

このルンバの掃除の網羅性を支えているのが、センサーによる空間認識とその情報処理による行動パターンを設計するソフトウェアの部分なのです。

ルンバのこの網羅性は、ホームマップという形で進化してきており、将来的には他のIOT機器とつながることが予測されています。

例えば、Amazonのアレクサと連動することで、デバイスの位置認識が確定できるので、『リビング部屋の電気をつけて』という命令も、認識して実行されるようになるといわれています。

今後、iRobotがホームマップを土台にし、企業連携によりどのような新たな収益を生み出していくのか楽しみですね。

 

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