まず本題を始める前に予備知識としてJ-REITを簡単に紹介。 J-REIT(リート)における分配金利回りは、 分配金利回り=年間の予想分配金÷投資額。
この分配金利回りがおよそ4%なので騒がれている。
なぜ高い利回りなのか。J-REITは投資法人という形態をとり、当期利益の90%超を投資家に分配することで法人税が免除されるのだ。
一般的な会社が税金を支払った後の配当金が分配されるのに対し、J-REITでは全額分配金に回すことができる。
ファンドとの違いなどリートの分配金に到るまでの仕組みは後日考える。
下記に大変参考になった日本・米国などのグラフの画像及びURLを掲載。


さて、本題。私は掲題の文言を読み錯乱し、2時間程度頭を悩ませたので解明したものを下記に記す。
主にリートと長期金利の関係性は2つ。
- 投資家のプレミアムに対する意識の変化
例えば、長期金利という安全資産(比較的)が0→1%に上がり、リートが4%のまま変わらなければ、 投資家マインドとしては投資の基準として考える安全資産の金利からの差が4→3%に減ったため「リートくん、もう少し稼いでくれてもいんじゃないの」となり、一部には「安全資産さん、やっぱり素敵だわ」と鞍替えが発生する。投資マインド変化がどれくらいのインパクトを生み出すかは過去の変化を追っていかないとわからない。追ってもわからないかもしれない、金利変化時の環境(トランプ先生要因など)も含まれるので。 - 借り入れ金の返済増額
今まで3.5%で借り入れできていたものが4.6%になると、 2018年物件取得額(100万円)1,778,642-投資口発行額724,638-投資法人債168,600=885,404を仮に銀行からの借入額と設定すると1.1%の変化なので9,739百万円の支払い増となる。
2018年の分配金が510,805百万円のため0.9で割ると、 567,561が分配前の利益になる。1.1%の金利上昇のインパクトは1.7%分配当金手取りが減る、と言えるかもしれない。(統計データ元:https://j-reit.jp/statistics/)
※1.7%の手取りの減少の方、信ぴょう性はあまり高くなさそう。次の記事で実際のREIT決算資料を使用して計算したら、そこでは30%近くの手取り減少になった。
さて改めて確認。
「長期金利の影響でキャップレートが低下すれば収益不動産価格は上昇し、逆にキャップレートが上昇すれば収益不動産価格は下落??」
以前のブログ記事にキャップレートについて触れたが、どうしてここでキャップレートが出てくるかさっぱりわからなかった。
基本的にはキャップレートは不動産の純収益(総家賃収入から管理費や修繕費などを控除したもの)を不動産価格で除した率。
キャップレート:還元利回り=投資対象のネットインカム/投資対象の価格
キャップレートを要素に分解して頭をひねっていたのだが、 (最終的にはバランスシートの資産の部の不動産に随時影響を与え、純資産の部を操る秘技を駆使し、資本の部を操作するのではというところまで妄想した。) 結局、原点に立ち返り、キャップレートを「投資家の期待値」に翻訳すると理解できた。需要と供給で住宅価格は変化しますよということを言いたかったのかな。
だが、一次的な長期的金利変動による投資家マインドの変化で資金が逃げても事業自体の収益性が変わらなければ中長期的には正解のような気がする。
その長期金利の変化の要因にもよるのでそこは要確認。一般的には金利の上昇は好景気の証と考えられるので不動産賃料もそれに合わせて上昇するはず。なので金利上昇による割引率(時間価値の割引率のこと)の上昇は相殺される。