ナイキのSNKRSが、なぜこれほどまでに人気なのか?調べてみました。
きっかけは米国での友達との会話。彼は自分のシューズをみせて、「これ20万円もしたんだぜ。」と語ってくれました。
あまり靴に興味がない私でも20万円で靴を何とか手に入れられるという状況の異常さを理解でき、これは面白いと思い、ビジネスモデルの特異点を探りました。
NIKESNKRS(ナイキスニーカーズ)とは、ナイキのスニーカーを購入するためのオンライン上の窓口を指します。現在ではwebサイトとアプリがあるようです。
これらのオンラインルートを通じて、人気の高い限定アイテムやコラボアイテムなどの限定品がリリースされます。
個数制限やアプリ販売限定などもあり、商品購入を攻略するサイトなどさえも設けられています。
この時点で、顧客から商品を購入しないという選択肢は消え、何とか商品を手に入れたいという欲求に切り替わってしまっています。鮮やかですね。
さらに、アプリを開くと、未販売のシューズの画像・名前・リリース時期があり、買い手はリリースが発売される1日前、15分前、リリースされた瞬間に通知を受け取ることができます。
顧客の通知設定を見ることで、逆にナイキは製作段階で需要をほぼつかむことができるので在庫管理が非常に楽になるのです。
また、リリースされた商品の注文画面まで進み、クレジットカード番号・パスワードを入力し注文確定ボタンを押したとしても、即座に購入とはならず、順番待ちの画面が出ます。
この段階でも、仕込みをしており、何とかこのレアものを手に入れたいという欲求をさらに煽るのです。コアなファンはいつも祈りをささげているそうです。
注文確定申請から、数分後に表示される画面には「購入成功」または「売り切れ」の画面が表示されます。
この「売り切れ」の洗礼をうけたファンはさらに熱烈なファンとなり商品購入に執着することになります。
これらの構造はジャニーズコンサートのチケット購入に似ていると思いませんか。チケットを買うだけではなく、買うまでの戦いも購買経験・ストーリーの一部となっているのです。
ストーリーは個人で完結するものではなく、ほかの人と語り、シェアすることで価値を持つので、熱狂的なファンを持つということは、新たなマーケターを雇用することと同じなのです。
ここまでの優位性を築けるのかと恐ろしい思いがしました。
同様のマーケティング手法で顧客の心を鷲掴みにする事例を「30分で15億円稼ぐインフルエンサーを支えるビジネスモデルの裏側」に記載したので、興味があればこちらもご確認ください。
ちなみに、この仕掛けの舞台裏にいるのが、ナイキデジタル部隊のGMであるロン・ファリス氏です。
彼はナイキが2016年に買収したソーシャルマーケティングテクノロジー会社、ヴァージン・メガの創立者で、ミレニアル世代へのマーケティングのプロフェッショナルなのでした。
彼の卓越したD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)手腕は、ナイキの熱狂的なファンやコミュニティーを見いだすことにかなりの貢献をしたのでしょう。
私も自分のブランドを確立すべく、顧客に招かれて彼らのコレクションのうんちくを聞きに行く日が近いかもしれません。
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