現在ソーシャルVRの制作にあたり、LINEがターゲットにしている、クローズドでかつ、現実世界でのコミュニケーション頻度と滞在時間が長いエリアに興味を覚え、調査しました。
IRなどを見ていく中で、現在LINEは事業規模の拡大に苦戦を見、この領域のマネタイズは一筋縄ではいかないのということがわかってきました。
苦戦の背景には、LINEが、コミュニケーションツールとしてのLINEに限界を感じ、プラットフォームとしてのLINEを確立しようとしていることにあります。
下記に現在のLINEの状態を添付します。営業利益率はずっとマイナス推移していることがわかります。
もともとLINEは、無料でテキストベースのコミュニケーションの場を提供するツールです。
テキストベースのコミュニケーションに、スタンプという感情表現を組み込むことで、爆発的に広まりました。
初期はスタンプ販売などコミュニケーションコンテンツ販売で収益をあげていたLINEですが、ユーザー数が膨大になり、顧客名簿を入手できたので、広告代理店としてそれを売り出すようになっています。
本来ならばクローズドなコミュニケーション領域に広告を組み込むのは、飛び込み営業と同じで多くの違和感を伴います。
それにも関わらず、この案を採用しなければならなかったのは、LINE事業の採算性にあったのだと思われます。
私もLINEの広告収入モデルに違和感を覚え、過去のIRを探ったのですが、2016年の12月期の業績に答えを見出すことができました。
そして、正直、現在ではこの広告手段以外に大きく収益を獲得できる柱は見つかっていないように思われます。
何が難しいかというと、顧客は無料で雑談するために、LINE内に集まっているので、そもそも何かの購入を検討して訪問しているAmazon客や何かのアプリをダウンロードしようとしているApp Store客とは、お金を落としてくれる確率が全く異なるのです。
何も困ってないお客さんに物を売らなければいけないことほど難しいことはありません。
LINEの広告モデルの参考となったであろうFacebookもプラットフォーム型といわれてますが、もともとオープンに人との交流を目的としていたFacebookとは、少しニュアンスが異なるように思われます。
企業がFacebookで広告するのも、Facebookユーザーが他者のコンテンツの共有に寛容であることにあります。
また、LINEと同カテゴリーのSnapchatの収益源も広告収入に依存していますが、テキストベースではなく、動画ベースの投稿のため、広告ニュアンスが緩和されやすくなっています。
LINEはテキストベースのコミュニケーション手段として、このようなデメリットがあったのです。
そのため、現在では、ユーザーのLINE内での回遊時間を増やし、新しいマネタイズポイントをつくるために、ニュース機能やゲーム機能、漫画機能などの新しいコンテンツの追加を仕掛けていっているのです。
しかし、可処分時間の問題やアプリ内の見やすさという制約などもあり、なんでもかんでも詰め込んでいたらユーザビリティが下がってしまうことになります。
先に、このSNS領域での収益の柱は広告以外にはないと書きましたが、一つ私も気になっていることがあります。
それは、フォートナイトゲーム単体の営業利益率です。
フォートナイトはEpic Gameの提供しているゲームの一つですが、無料コンテンツなのに、広告収入モデルではなく(広告要素は多少含みますが)、ゲーム内継続課金とアイテム課金が収入の柱になっています。
この営業利益率がわかれば、SNS運用のヒントになるのではないかと考えています。
私の仮説では、フォートナイトの営業利益の稼ぎは大きいが、営業利益率自体は低く、フォートナイトが広告塔となって、Epic Game Storeに出店するディベロッパーからの収益マージンでEpic Game自体の利益を拡大していると考えています。
フォートナイトの営業利益率がものすごい高ければ夢のある話になると思いますが、現実は難しいと思います。
Epic Gameが非上場でかつ、フォートナイト単体の営業利益率を調べるとなると実際に働いている人にニュアンスを聞くしかないので、ツテがある人は聞いてみてください。(聞けたらこっそり教えてください。)
SNSを開発する際には、目標地点となる規模を事前にすり合わせておかないと、顧客層やマネタイズ手段がはっきりしなく迷走するということがわかりましたね。