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サラリーマンはなぜ起業を勧められるのか?

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サラリーマンは金持ちになれない

よく「サラリーマンは金持ちになれない」といわれますが、その理由を皆さんはご存じでしょうか。

私は、これまで、経費にできる範囲が違うので、起業されている方に比べて、サラリーマンは不利であると漠然と考えていました。

しかし、先日「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を読む機会があり、日本の社会構造的に、サラリーマンは税金の徴収源とされていることがわかりました。

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今回はサラリーマンの税金支払いだけでなく、個人事業主の税金支払い、さらに、一人法人の税金支払いにも触れて、サラリーマンの税負担がいかに重いかを確認してければと思います。

サラリーマンの税金

サラリーマンが、政府に対して納めているものに、税金社会保険料があります。
税金は所得税・住民税で、社会保険料には厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険などが含まれます。

サラリーマンは、これらの税金が、自動的に、給与から源泉徴収や年末調整というかたちで徴収されます。

一方で、自営業者等は、収入や支出を自分で決めることができるので、納税額や社会保険料納付額を自分で調整できるのです。

そのため、政府も、自営業者等らに納税させるよりも、サラリーマンから資金を徴収したほうが楽なのです。

実際に数字を確認してみると、サラリーマンの税負担は深刻でした。

ご自身の源泉徴収などで納税額を確認された方は、不思議に思うかもしれません。

というのも、税金を納めている割合はそこまで大きくないからです。

今回の税負担のからくりは、税金とは名前がついていない社会保険料のほうにあるのです。

社会保険の一部は、今後自分に返ってくるものだから仕方がないと私も思っていましたが、実際の納税額を比較してみると、明らかにサラリーマンのほうが不利なのです。

なので、実際の数字を見て確認していきましょう。

サラリーマンの税金シミュレーション

年収600万円のサラリーマンを例に考えていきます。

個人での、社会保険料の負担が864,300円なので、そのサラリーマンを雇用している企業も同額の社会保険料864,300円を国に支払います。これは法律により決められています。

このときに、考えるべきことは、企業は慈善団体ではないので、そもそもの企業支払い分864,300円はそのサラリーマンの収入分であったということです。

そのため、年収600万円に対して、本来はあったはずの裏収入864,300円を加算したものを年収として計算しています。

計算式は年収-社会保険料-納税額計=手取り金額となります。

社会保険料+納税額計=実質税負担額として各要素の数値を記していきます。

年収:6,864,300(額面6,000,000)

社会保険料:1,728,600(個人負担は864,300)

納税額計:282,000
(内訳)
所得税:94,000
個人住民税:188,000

実質税負担:2,010,600
実質税負担率:29.29%

このシミュレーションをみたらわかるように、経費などを一切落とせないにもかかわらず、収入の約3割が自動的に消えているのです。鳥肌ものですね。

だから、サラリーマンはお金持ちになれないといわれるのだと腑に落ちました。

個人事業主の税金シミュレーション

では、気になる個人事業主はどの程度支払っているのでしょうか。

参考までに、青色個人事業主を上記のサラリーマンの年収と同じで、シミュレーションしてみました。

事業にかかるコストだけでなく、生活コストの半分も計上できるので、年間300万円を経費に組み込み、計算しています。

年収:6,864,300(上記のサラリーマン年収と同じ)

社会保険料:678,057

納税額計:525,215
(内訳)
所得税:185,900
個人住民税:291,100
個人事業税:48,215

実質税負担:1,203,272
実質税負担率:17.52%
(計算サイトはこちら

実質的な税負担額が、80万円ほど個人事業主のほうが少なくなっていることがわかります。また負担割合も18%まで下がりました。

中小企業のほとんどは帳簿上赤字経営でまわしているので、収入に対して、すべてを経費として計上する極端な例も考えてみましょう。

年収:6,864,300(上記のサラリーマン年収と同じ)

社会保険料:256,770
納税額計:0

実質税負担:256,770
実質税負担率:3.74%

驚きの25万円でした。桁が一つ違いますね。

ここまでされる方はいないとは思いますが、事業主の方は日々このように削減でする努力を行っているということも頭に入れておいてください。

個人事業主と法人の違い

ここまで読まれた方で、個人事業主と法人の違いが判らないという方もいらっしゃると思うのでそちらも解説します。

年間500万円以上の利益があれば法人化するメリットがある

個人事業の利益には、所得税と住民税が課され、特に、所得税は、利益が増加するにつれて税率が段階的に増えていきます。

これに対して、法人の利益に対しては法人税しかかかりません。そして、下記のように、利益に比した増分があまり多くありません。

利益が400万円以下の部分=約21.4%
利益が400万円超~800万円以下=約23.2%
利益が800万円超=約34.3%

そのため、個人事業の年間利益が、500万円以上になってしまうと税率が法人化した場合より高くなってしまうので、ここで法人になるメリットが生まれてくるのです。

ただ、先のシミュレーションでも述べたように個人事業で利益を出すかどうかは、事業主次第なので、今後銀行から融資等を受け、事業拡大していきたい場合に法人化すると考えておいたほうがいいかもしれません。

個人事業主は給与所得控除の恩恵を受けることができない

個人事業主は、売上から経費を引いた利益に対して、所得税がかかるため、サラリーマンのような給与所得控除を受けることができません。

一方で、法人化によって、社長になり、役員報酬を支給することで、給与所得控除の恩恵を受けることが可能となります。

下記に簡単なシミュレーションを記載します。

【個人事業主】
売上:1000万円
経費:400万円
所得金額:600万円

所得税70万円
住民税57万円
事業税16万円

【法人 会社】
売上:1000万円
経費:400万円
役員報酬:600万円
所得金額:0円

住民税7万円

【法人 社長】
役員報酬:600万円
給与所得控除:174万円
所得金額:426万円

所得税:35万円
住民税:40万円

個人事業主側では、143万円分の税金支払い、法人側では7万円(会社)+75万円(社長個人)の税金支払いとなり、61万円お金を浮かせることができます。

しかし、大事な社会保険料がここには含まれていません。

個人事業主では、常時雇用している職員数が5名以下であれば、社会保険への加入はしなくていいという特典はありますが、法人の場合は社長一人であっても役員報酬を支給する際には社会保険への加入が義務となっています。

なので、社会保険料分だけ、法人のほうがコストがかかることになります。

先の社会保険料678,057円を参考にすると、少し法人のほうがコストがかかってしまうことがわかります。

法人は家族に役員報酬を支払い税負担を削減

ただ、せっかくお金を稼いだのですから、社長は自分たちの幸せのためにもお金を使いたいという要望もあると思います。

そんな時に使えるのが、法人のみで使用可能な家族への役員報酬支払いです。役員報酬には給与控除が設定されているので、自分に支払いを集中させるよりも、家族への支払いにわけたほうが結果的にかかる税金が少なくなることがあります。

税率と給与控除額、社会保険料のバランスをみて、給与を、自分と家族に振り分けていくことが一番大事になります。

損失繰越期間

事業が赤字になった場合、青色申告は赤字損失を3年間繰り越すことができますが、法人であれば、9年間も繰り越すことができます。

利益変動が大きい事業では大変役に立つ制度です。

経費の計上しやすさ

法人にした場合、下記のような経費にしやすい項目が出てきます。

・法人名義で契約する賃貸住宅や法人名義で所有する住宅への居住
・出張などに際に支給される
・食事に対する補助

ただ、個人事業主でも対応できる範囲なのでそこまでメリットとはいえません。

結論:個人事業主か?法人か?

基本的に、サラリーマン起業される方は、個人事業主で問題ないと思います。

私の場合は、取引先からの契約の関係上、法人化してほしいといわれたので対応していますが、それ以外にメリットになる要素はありません。

逆に言うと、法人化によって新たな案件獲得の幅が広がるともいえるので、そのような機会が出てきたら、法人化も検討してみてもいいのではないでしょうか。

一人で法人起業されて2重の社会保険料を払いたくない場合

それでも、代表取締役、CEO、最高経営責任者の肩書が欲しいというサラリーマンの方もいると思います。

年間7万円程度の住民税なら何とかなると思いますが、年間100万円近く支払わなければならない社会保険料は避けたいですよね。

その際は、設立された会社の役員報酬を0円にすれば、社会保険などに入る必要がなくなりますので、サラリーマン起業される方にはお勧めです。

報酬はもらえませんが、経費は使えるので、そこでメリットを出していくことになります。

ただ、働いている会社を辞め、役員報酬をもらいたいとなった場合は、事業年度の開始日から3ヶ月以内にしか役員報酬額を変更する機会がないため、退職時期にも、気を付けられてください。

また、役員報酬をもらう場合、働いている会社にも調整の届け出をする必要があるので、副業禁止の場合は対応できないかと思います。

最後に

ここまで、読まれた方は、サラリーマンは日本の社会構造的にお金持ちになれない、ということが理解できたと思います。

個人事業主や法人についても知ることで、より自分の生活をコントロールしていこうと思えたのではないでしょうか。

サラリーマンでもできることは多々あるので、個人事業主の仕組みを活用するなど、少しづつ不利な状況を打開していきましょう。

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