ビジネスモデル事例集 起業

コロナと今後のビジネスモデル

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コロナによる需要変化

コロナパンデミックの影響で、人々は外に出られなくなり、自宅で過ごす時間が増えました。

この自粛ムードの中、下記のようなビジネスの需要変化が引き起こされています。

利用者減少
飲食店、イベント、通勤、フィットネスクラブ、エンターテイメント(映画館、遊園地、芸人、舞台など)、美容室、交通機関、キャバクラなど夜のお店

利用者増加
ビデオ会議、宅配、EC、ゲーム・動画視聴、グランピング

コロナによる価値変化

ただ、コロナの終息後もこのような需要の偏りがずっと残り続けるかというとそうとはいえません。

では、コロナが変えた最大のものは何かというと、「人々の価値観」です。

コロナは多くの人に今まで体験したことがないライフスタイルを持ち込みました。その結果、一部の人はこのようなことに気づき始めました。

在宅勤務の快適さ
ひきこもりライフの快適さ

また、気づいたのは個人だけではありません。企業も同時にこれらを認識しています。

顧客のコンフォートゾーンの変化
第二次コロナパンデミックのリスク

絡み合う、これらの価値変化が次のようなことを引き起こします。

在宅勤務の快適さ×ひきこもりライフの快適さ
<現象>リモートワーク勤務促進、雇用形態の変化

在宅勤務の快適さ×顧客のコンフォートゾーンの変化
<現象>脱スーツ、ネクタイ、ハイヒール、よりカジュアルな形態のシェアが高まる

在宅勤務の快適さ×第二次コロナパンデミックのリスク
<現象>オフィス固定費削減、オンライン化促進

ひきこもりライフの快適さ×顧客のコンフォートゾーンの変化
<現象>飲み会などの更なる減少、アウトドア市場減、インドア市場増

ひきこもりライフの快適さ×第二次コロナパンデミックのリスク
<現象>費用対効果が高いものに資金投下が集中し、残りは万が一のための貯金

顧客のコンフォートゾーンの変化×第二次コロナパンデミックのリスク
<現象>取扱商品の変更・開発及び固定費から変動費へ比重組み換え

これらの現象をもう少し詳しく見ていきましょう。

ビジネスモデルの変化

今後、オフィスの固定費を削減するために、企業側は社員に対して、リモートワークを推奨し、一部の社員はそれを受けれ入れる方向に動くように思われます。

もちろんこれは、リモートワークのインフラ費用がオフィス維持費用を下回る場合なのですが、リース代、清掃費、設備管理費、電気代、ガス代、福利厚生費、保守管理費、警備業務費、通勤費などが浮くため、サーバーからクラウドへのスイッチングコストが多額でなければ、一人当たりのリモートワーク費用が2万円程度でも十分元が取れると思います。

特に、都内の一等地にビルを構えている場合はなおさらでしょう。

また、不況のため、皆がお金を使わなくなり、企業の体力も低下し始めると、人事権をうまく用いて、リモート&フェイドアウトという形でコスパが悪い人件費にもメスをいれざるを得なくなります。

さらに、企業側は提供商品・サービスの構造にも踏み込むことになります。

現在の設備などの固定費部分を、リース使用の変動費に置き換えるか、保険によりカバーすべきなのか、考えることになります。どちらにしろ事業コストは増加します。

そうなると、事業全体の利益率は下がることになります。きわどい利益率で回していた会社は、事業の売却までを視野に入れなくてはなりません。

ここで強いのが、資金余力をたっぷり持っている会社で、同カテゴリーの瀕死の事業をまとめ買いすることで、物流コストを下げ、さらに強い体質を手に入れることができます。

ただ、これらの力技も顧客の嗜好の変化をとらえきれていないと、削減したコスト以上にサービス利用者が減少したということになりかねないので注意が必要です。

成功事例からみるアウトドア事業の生き残り策

では、アウトドア市場からすぐに撤退したほうがいいのかというと、そうではありません。
コロナ状況下でも、被害が少ない料理店、美容店、新たに盛り上がっているグランピングという事例から、生き残り策を見極めていきましょう。

料理店

一般的なレストランへの客足が途絶える中、接待用の高級料理店はいまでも満杯が続いています。

それはなぜでしょうか。

単に個室を提供できるからではありません。キーポイントは顧客にとって、代替することが難しいサービスを提供していることにあります。

例えば、パンデミックの状況下でも、大事な局面では接待せざるを得ない状況が生じます。

そのようなときに選ぶ店は、自分が過去に使用し、最高のサービスを相手に提供できた場所です。

多くの社会人は1~3店舗程度このようなお店を持っていると思います。この3店舗の中に入っている店は安泰といえるでしょう。

それは、顧客にとって「ビジネスマナーとして必要不可欠」なところを抑えているからです。

このレベルに至るには、仕入れの素材に始まり、料理人の腕、店のデザイン、スタッフの質などをこだわり抜く必要があります。

そのかわり相応の価格で、サービスを提供します。ある程度の利益を載せても許されるのは、参入障壁が高く、競合が少ないからです。そして、そこから余裕がある経営が実現できるのです。

また、高級レストランではない、全く庶民的な地場の居酒屋でも毎日お客が入り繁盛している店舗があるようです。

その居酒屋は、なじみ客が多く、地場の「コミュニティとして必要不可欠」の存在になっていたんです。

高級レストランと地場の居酒屋というと、まったく異なるように思えますが、彼らが提供しているものは、一緒で、それは、顧客にとって必要不可欠なものなのです。

立地、料理、雰囲気を組み合わせていかに店舗のコアとなるファンを作っていけるかが勝負となります。

そのため、現在顧客は入っていないが、今後もレストランを続けていきたい場合は、一度相場観が定まってしまっている現在のブランドを壊し、新しいブランドを育成していくべきだと思います

なぜなら、価値観の変化により、外食市場が衰え、さらなる競争に突入すると考えるからです。

美容室

一般的な美容室の顧客が減少する中、今でも予約でいっぱいの美容院があります。

ただ、予約でいっぱいの美容院も、初めから予約でいっぱいだったわけではありません。

コロナパンデミックで客足が遠のく中、あるサービスの客だけ、通常通りに来店することに気づいたのです。

そして、そのサービスを強化してみた結果、顧客がコロナ前と同水準まで戻ってきたのです。

では、そのサービスとは何でしょうか。

それは、「白髪染め」です。

そもそもの美容院の顧客現象の背景としては、リモートワークで外出量が減り、人に会う数もそれに伴い減少、外見に気を使う必要性が薄まり、美容店に通う必要性も少なくなるという流れになります。

一方で「白髪染め」は何のために行うかというと、外見のためもあるのですが、自分のためでもあるのです。

毎朝鏡を見て自分の白髪をみると一日のテンションがだだ下がりしてしまう人が一定数いたのです。

今回のパンデミックで人に会わないという現象が生じることはわかりました。ただ、自分を見ない日はありません

今後の店舗の損益分岐点までを組み立てるうえでも、確実に積み上げられる、「自分に不可欠」な消費を洗い出し、うまくサービスに組み込むことが重要になってきました。

グランピング

一般的なホテルが顧客を取り込めない中、グランピングサービスを提供するホテルが絶好調です。

そもそも、グランピングとは何かというと、グラマラス(Glamorous)×キャンピング(Camping)を掛け合わせたもので、キャンプの醍醐味は残しながらも快適に寝泊まりすることのようです。

キャンプというと、ワイルドな代わりに、不便で、不快という印象もありますが、その負の要素を、快適な寝具・室温調整・完全防水テントなどの供給により、極力小さくしたものといえるでしょう。

では、なぜ、今グランピングが人気なのでしょうか。

それは、ベースがキャンプであるため3密を避け、レジャーを楽しむことができるということもあります。

ただ、私が注目したいのは、一緒に過ごす時間が増えた「夫と妻」そして「親と子」の関係性です。

いままでは親、特に夫、は夜遅く仕事から帰るため、子供と平日に過ごす時間は少なく、休日も仕事がきついかったからと自分の休みを満喫し、大型休暇の際には、大金を投入することで、日頃の付き合いの悪さなどを許してもらうというパターンで生活していたのではないかと思います。

それが今回のリモートワークで、変化が起きているように感じるのです。

例えば、コロナ離婚のような借金の問題に限らない、夫婦間の軋轢があげられます。

今後夫に対する家族サービスの水準があがり、そこから、夫も最適なサービスを模索するようになるので、「家族サービス需要の多様化・高レベル化」が今後の流れとして生まれてくると思います。

その始まりとして、グランピングの盛り上がりが来ているのではないでしょうか。

また、レジャーだけでなく、子供の教育に対しても親が気を配りやすくなるので、そのカテゴリーも伸びやすくなると考えます。

最後に

今回はコロナがどのようにビジネスモデルに影響を与えるか。そして、その対策はどのようにすればよいかを成功事例から確認しました。

まだ動きづらい環境ですが、皆でこのパンデミックをなんとか切り抜けましょう。

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