米国の不動産成功者がどのように成功したのか調べていたのだがドナルド・トランプの人生からの学びが大きかったので共有する。
私が一番ショックを受けたのが下記。
「米国の不動産バブルがはじけ、90億ドルの負債を持ちながらも、銀行と交渉を行い、5年間の借金の返済猶予と、6,500万ドルの新規融資という好条件を引き出した」
不動産用ローンという枠組みを超え、事業用資金として銀行から融資を引き出すスケールに自分の浅はかな先入観が破壊された。
彼はなぜこのようなことができたのか?
交渉術が得意といわれるが口先だけで乗り越えられるレベルを超えている。普通ここまで負債を抱えた人間を人は信用しない。
ただ、彼はこの状況で債権者そして銀行を説得してみせた。敵を徹底的に攻撃するだけが彼の武器ではないのだ。
そこにはどんな要因があったのか深堀する。
トランプは不動産の取引をする際、物件に直接足を運び、物件及び周辺の人の意見なども聞いて、投資対象として適しているかどうかを自分で判断していたという。
確かに、物件に足を運んで周りを見ることは当たり前である。でも、実際に住んでいる人の意見や隣の住人の意見まで確認している投資家の話はあまり聞かない。
絶対に聞いたほうがいいことなのに、人の目を気にして聞けないのだ。
私も「だいたいわかった」と思い、スルーしてしまう。
だいたいだから、成功できないのである。
トランプは成功を限りなく確信に近づけるために、恥も外聞も気にせずやるべきことをきちんと積み重ねている。ここに強固な根拠からなる確固たる自信をみてとれる。この時点で凡庸を超えている。
また、彼は「ロケーションは悪いし、設計も気に食わないし、もっと正直にいえば、開発担当の奴らを好きになれない」とぼろくそ言うが、これは逆に彼が立地に対する基準や設計に対する基準を持ち、さらには開発担当レベルまで自分のこだわりを具現化できるかの確認を行っているということなのだ。
収益性への影響が高いため立地レベルの基準を持つ投資家はいるが、設計に対する自分の意見を持ち、それを開発者と話し合い、高次のものにまで高めて市場に送り出そうというマインドの人はほぼいない。
せいぜい売れている設計のコピー&ペーストが主たるものではないか。
最後に、トランプは常に最悪を予想して取引に臨むという。
これは当たり前ではないかと思う人も多いだろう。
だが、一つの取引に臨む際に5パターン用意する人はどれくらいいるだろうか。
彼は取引に臨むときにはできる限りのシナリオを読み切って、それに対する対策を用意しとく。
彼がいう「カードをきる」というのは最終的な会話の落としどころに対する対応策のことで、彼の頭の中は、話しながら樹形図の分岐をたどり、終点まできたらカード、つまり、その問題対する対応策について言及する。
営業の際にこの樹形図型の会話フローからの即落としどころ製品の提案はかなり有効性が高い。
徹底的に詰めまくってある製品・解決策の提案であるのでクライアントに逃げ場はないし、トランプ自身もその解決策がクライアントを幸せにするとほんとに信じているのだろう。
これらの要因から、たとえ借金していてもトランプは人々に信頼されていたのだ。