ビジネスモデル事例集

30分で15億円稼ぐインフルエンサーを支えるビジネスモデルの裏側

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2019年9月末のNHKでも放送されましたが、中国のウェブセレブの勢いがとどまることを知りません。

ウェブセレブが解決したこと

なぜ彼らの勢いは伸び続けるのでしょうか。

それは、不良品があふれる、おびただしい商品群の中から、その「商品を選ぶ理由」を与えてあげたから。そして、同じ価値観を共有することで、「連帯感」「心のよりどころ」にもなっているからです。

いまブームになっているyoutubeをみても思うのですが、何かを通して「繋がること」に価値を見出す日本若者は増えていると思います。

中国はさらに悲壮感が出ており、中国人の学生友達も、「中国はしんどい」とよく言っていましたので、その反動として、追い求める存在が必要になっているのかもしれないですね。

ちなみに、ウェブセレブ企業は、オンラインだけでブランドを構築し、リアルでの販路は持ちません。そして、在庫は常に販売量の10%しか持たず、残りは注文を受けてから20日以内に製造し、発送するかたちをとります。

ウェブセレブ企業の中でもジャン・ダーイー(通称:ビッグE 1988年生まれの元女性モデル)は伝説級の売り上げを残しており、2017年の独身の日(11月11日)には、セール開始から、わずか30分で1500万ドル(15億円)を売り上げました。

これらの現象は、確かに、中国の人口規模と経済状況(モノの消費がまだ盛んであること)、アリババが構築したネットワークにより初めてまともに機能する物流網ができたという背景もあります。

ウェブセレブの戦略

ただ、アリババが作ったプラットフォームにのるだけで、これほどまで稼げるものなのでしょうか。

探ってみると、思わぬ縁の下の力持ちがインフルエンサーを支えていることがわかりました。

ウェブセレブの基本戦略は、NIKEも愛用するハングリー・マーケティングです。

ハングリー・マーケティングとは、企業が意図的に在庫を抑え、人為的に消費者の購買意欲を煽る手法です。奪い合いや品不足のイメージが、熱狂的なファンを生み出し、ほとんどの商品が販売と同時に完売します

まだ、物欲が旺盛な、中国のeコマース市場では特にメジャーで有効な手法であり、特定の商品に対する需要を事前に調べることができるので、在庫管理が非常に楽になります。

最初の受付分が売り切れると、すぐに同一商品の第二・三ラウンドの予約販売というかたちで購入数を増やしていきます。

第二ラウンドの出荷はセール日から10日後程度に設定されており、この10日間で工場は予約分を生産し終わらなければならないのです。

先にも述べた通り、実際の需要の10%程度しか一回目の受付で販売しないため、残りの90%を予約分で販売しており、かなりのしわ寄せが製造体制に来ることになります。

もちろん、インフルエンサーのメインの仕事は、このフラッシュセール開始時までに、顧客とのさらなる信頼関係を築き、コミュニケーションの中で、商品開発のヒントを見つけると同時に、商品を売り込んでいくことにあります。

ビジネスモデルの縁の下の力持ち

では、フラッシュセールにより発生する製造・配送の過酷な対応は実際誰が請け負っているのでしょうか。

その部分で、ジャン・ダーイーに力を貸しているのは「ルーハン」というウェブセレブ・インキュベータになります。

時価総額は500億円超、中国をはじめアジア全域のオピニオンリーダー100人以上のブランド構築に貢献した実績があります。

では、彼らはどのように10日で、製造から配送までを完結させているのでしょうか。見ていきましょう。

まず、伝統的な衣料品の製造工程からです。

製造工程は4つに分かれており、パターニング、裁断、縫製、仕上げです。一般的な商品であれば、最短20日、かかっても60日で製造することが可能です。

この工程のうち一番時間がかかるのがパターニングで、ここで14日を消費してしまうのです。

ここに、14日かけていたらSNSでの炎上は必須でしょう。信頼やブランド価値は総崩れになってしまいます。

さて、ジャン・ダーイーとルーハンはどのようにこの問題を解決したのでしょうか。

まず、自社設備だけでは対応できないので、余剰生産能力を抱えた近隣の外部工場に製造をアウトソーシングしていくところから始まります。

しかり、ただ、アウトソーシングするだけではだめで、ウェブセレブの急激な需要のピークとその落ち込みという極端な変動に対処できるような工場ネットワークを構築していきました。

コアプロセスは下記の4つになります。

1.衣料品製造の標準的プロセスを分解

2.集中管理体制を備え、高性能なオートメーション機能を持つパートナー工場群にパターニング部分の委託(14日を数日まで圧縮)

3.その他工程のパートナー工場も選び、サービス型ソフトウェアSaaSプラットフォームを導入し、すべての工場の活動をオンライン上で可視化

4.SaaS上で各工程間の引継ぎのコミュニケーションを担当工場同士が行う

このネットワーク型製造モデルの完成により、ルーハンは一製造業者から製造プロセスのファシリテーターへと変化しました。

この複雑なプロセスは単一のソフトウェア・プログラムによって管理されており、ルーハンが出すすべての注文に対し、どこの工場の、どの製造ラインが担当し、どれくらいの作業員が投入されるのか、が分かるようになっている。

さらに、材料はいつ届き、どこに届けられるのか、そして、完成品はいつ、どの倉庫に入るかも把握している。

また、このソフトウェアはデザイン、マーケティング活動の数字も取り込み、製造活動に連動させることができるため、デザインチームが商品デザインを作成すれば、工場側も必要な作業予定工数が可視化できるし、SNS上の反応を分析したマーケット部隊の予想需要量から工場側の必要製造量の分担もできます。

ソーシャルネットワーク、取引、在庫管理、製造の一連のデータが、リアルタイムに連動する事業活動として、ソフトウェアに落とし込み、オンライン上で運用されているのです。震えますね。

私も現在プログラミングの学習をしながらビジネスに携わっていますが、今後のビジネス運営にはこれらのエンジニアリング技術の理解は必須であるとひしひしと感じました。

早く学習段階を終え、自社へのソフトウェア化導入、また、エンジニアからの提案の理解度を深めていきます。もちろん自分でもコードを書きます。

私は、無料で学べるprogateで勉強しておりますが、一人で学ぶのが難しそうでしたらスクールでの受講をお勧めします。

おすすめのスクールは、ホリエモンも絶賛しているまこなり社長のTECH::CAMP(エンジニアスクール)です。未経験者99%の内容となっているようなのでかなりとっつきやすいかと思います。

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