ライブ配信文化の背景
先日「17Live」運営で有名な台湾企業である17 Entertainment(M17)がシリーズ Dで28億円調達しました。
過去記事で月収1億円稼ぐビジュアル系ライバーに軽く触れた程度であまり深く突っ込まなかったのですが、今回いくつか疑問が生じ、改めて調べなおしました。
特に下記の3点が今まで持っていた仮説とかなり食い違っていました。皆さんもこちらの特性をご存じでしたか?
・基本ライバーは参加者のコメントに全対応(Youtube Liveとの違い)
・ライブ動画を見る理由No.1は「リアルタイムで展開を見届けたいから」
・インフルエンサー/一般人の配信は、10代、20代の女性の視聴率が半分を占める
上記のポイントから、ライブ配信を単純にビジュアル系アイドルへの課金サービスと考える仮説は弱まります。
さらに、M17は、オンラインライブストリーミング×ソーシャルコマースの場として17Live位置づけており、ただのアイドル課金では、ソーシャル性をきちんと発揮できていないことになります。
では、17Liveとはいったい何なのでしょうか。
私は、このライブ配信文化は人的資本特化型の新しいオンラインサロンの形態なのではないか、と考えるようになりました。
テキストや動画ベースの一切のコンテンツを排除して、その場限りの臨場感を共にし、同じ嗜好を持った人たちと日常とは違う第三世界として場を楽しんでいるといえます。
そして、オンラインサロンと同様、このソーシャル性がSNSとの相性がよく、爆発力の要因になっているだと思います。
確かに、課金層に人気があるのはビジュアル系で、そこが現在のライブ配信マーケットの礎を作っているのかもしれないですが、今後「投げ銭」とは異なるマネタイズ手段がプラットフォーマーから提供され、そちらがライブ配信の本質を表していくんだろうなと考えています。
そう考えるとライブ配信文化は進化中といえ、今後の成長が見込めます。
多様なライブ配信文化
今回調べて見つけた特徴的なライブ配信を紹介します。
SHOWROOM:アイドル配信
LINE LIVE:タレント・モデル配信
Mirrativ(ミラティブ):ゲーム配信
MixChannel(ミックスチャンネル):視聴者9割が女性、中高生73%以上
特に、着目したいのがMixChannelで、これは何をやっているのかというと、ティーン世代のカップルの様子を音楽に載せて配信するというものです。
このような需要もライブ配信にはあるのですね。
17ライバーはというと、ほとんどが視聴者の質問やコメントを拾いながら、雑談を展開していくスタイルで、youtubeのような企画やパフォーマンスが必要がない、ライバーの素の日常を公開しています。
その中で、ライバーは参加者の名前を必ず呼び、コメントには基本的にすべて答え、一緒に聞いている人たちもコメントなどに反応して、励ましたりする文化がはぐくまれています。
また、リスナーもゲストとなりライバーと電話コラボできたり、「寝落ち枠」「勉強枠」等を作って独自の文化圏を提供しています。
コンテンツの意識調査
ライムライト・ネットワークス・ジャパンのライブ配信サービスの調査下記のことがわかっています。
視聴者ジャンル割合:
「音楽(フェス・ライブ)」(38.8%)
「スポーツ」(33.5%)
「インフルエンサー/一般人の配信による動画」
10代の39.4%、20代の36.5%が視聴。女性に限ると50%近くが視聴。
ライブ動画を見る理由としては、継続的なつながり・ストーリー性を重視しており、「リアルタイムで展開を見届けたいから」と半数近く(48.6%)の人が答えています。
「投げ銭」では活かせない10代、20代女性の視聴率をソーシャルコマースでどう活かしていくのか。見ものですね。だからこその資金調達なのかと納得できました。