ビジネスモデル事例集

スマホから無料視聴「AbemaTV」のビジネスモデル

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ついに、スマホから無料で動画視聴できるAbemaTVの1週間当たりの利用者数(WAU)が1,000万人を超える水準に達しました。

今回は、この業界の在り方を変えつつあるAbemaTVのビジネスモデルを見ていきたいと思います。

そもそも、株式会社AbemaTVは、サイバーエージェントとテレビ朝日の共同出資で2015年4月に設立され、社長はサイバーエージェントの藤田さんが務めています。

サイバーエージェントは、Amebaブログなどのメディア事業ネット広告事業ゲーム事業の3つの事業を柱に運営している会社で、AbemaTVは同社のメディア事業に位置づけられています。

AbemaTVの特徴

AbemaTVはインターネット版テレビを目指しており、テレビで配信されるようなコンテンツをインターネットで配信することを目的として作られました。特徴としては下記の5点があげられます。

1.オンライン視聴形式
オンライン視聴が可能なため、スマホからでも、隙間時間にテレビを見ることが可能になります。

2.リニア視聴
テレビと同様に「生配信」をベースにしています。ただ、最近では、Netflix,huluのように、有料版でのオンデマンド配信(ストックコンテンツをいつでも視聴できる形)にも注力しており、需要に応じて対応の変化がみられます。

3.原則無料
アプリをダウンロードしてAbemaTVを視聴するだけでは料金が発生しません。驚きのシステムです。「なぜこのような体制が可能か」はビジネスモデルで触れます。

無料で視聴ができるAbemaTVは「好きな時にみたいコンテンツ」を観ることができませんので、時間・場所の制約なしに視聴するためには月額960円の「プレミアムプラン」への加入が必要となります。

プレミアムプランは、番組のダウンロードもできるので、事前に落としておけばネット環境のない場所でも視聴することができます。通信容量をあまり使いたくない、ドライブ中や出張中の乗り物の中で、好きな番組を楽しむことができるのはありがたいです。

私は、朝の忙しい時間にニュースなどをダウンロードしておいて、通勤時間にみています。



ちなみにプレミアムプランは初回登録であれば1ヶ月間無料でお試しができます。無料版を試してみて面白いと思う番組をみつけられたら登録してみてもいいかもしれませんね。

毎日このアプリを使用すると1日あたり32円なので、私はストレスを感じるよりは、こちらの登録を選んでいます。
もし、気になった方がいっらしゃったら、こちらから内容を確認できるようにしているのでチェックされてみてもいいかもしれません。

4.24時間放送

5.約20チャンネル
オリジナルチャンネルにもこだわっており、内容も独創的なものが多いです。

AbemaTVでは、脚本を決めてから、オーディションで出演者も登用するので、事務所の出演者ありきで制作を進めなければならない地上波のテレビに比べ、自由度が高くなっています。

WAUを支える主力コンテンツ

AbemaTVの視聴者数を支えるコンテンツには2つのポイントがあります。

1.速報性
芸能や社会的ニュースなど、大きな話題がある時に、「AbemaTVだったら何か新しい情報を得られるだろう」という認識を視聴者につけたことでAbemaTVを定期的にチェックするファンを作っていきました。

2.恋愛リアリティショーなど若年層向けコンテンツの成功
テレビではカバーできない若年層の取り込みに成功しており、特に、恋愛リアリティショーの人気は高くなっています。決算資料の中で「女子中高生の3人に1人が視聴」と分析されているほどです。

スマホから無料で気軽にアクセスできるという点も含め、若年層の継続的視聴を促す番組を作ることに成功しているといえるでしょう。

AbemaTVのターゲット

AbemaTVの主なターゲットは、コンテンツの選択にも表れている通り、若年層で、ユーザーの半数以上が18-34歳で構成されており、若年ユーザーへのリーチに強みがあります。

従来の新聞広告・TV広告でアプローチできない層にもメッセージを届けることができるので市場価値は年々高まることが予想されます。

ただ、キャリアの通信費用の問題などにより、視聴時間帯のピークは、Wi-fi環境が整っている夜と土日がメインとなります。

さて、消費者にとって、大変ありがたいサービスだということはわかったのですが、では、どのようにAbemaTV自体はビジネスとして成り立っているのでしょうか。

AbemaTVのビジネスモデルに入る前に、なぜ、「AbemaTVがはじめられたか」、「存在理由はなんなのか」について確認しましょう。そこが収益化の鍵になるからです。

AbemaTVの問題解決

実は、ネット広告の勢いが既存の広告を追い抜いた現在の広告業界にとって、致命的な問題があったのです。

それは、ネット上に「広告主が安心して出せる広告」が少ないこと。

インターネット広告自体の展開場所は確かにたくさんあるのですが、広告を掲載する場所として適切でない場所にまで広告が掲載されてしまうリスクがあるのです。

そうなった場合、広告主のブランドが逆に傷つけられてしまい本末転倒な結果になります。

その問題を踏まえ、コンテンツがコントロールでき、安全に広告をだせるインターネット広告プラットフォームとしてAbemaTVが作られたのです。

AbemaTVのビジネスモデル

番組制作費およびプラットフォーム開発及び維持費でかなりのコストが予想されるAbemaTVはいったいどこで収益をあげているのでしょうか。

彼らの主要なマネタイズポイントは2つあります。

一つ目は、プレミアム会員からの会員費
もともとリニア型を志向していたAbemaTVにとっては、オンデマンド型でここまで需要が増えたのはうれしい誤算でしょう。2017年には8万人であった有料会員数は2019年12月には7倍相当の59.3万人にまで増加したのです。

月額970円×12か月×59.3万人=6,902,520,000円

なんと、誤算で70億円稼いでしまっているのです。

現在も成長しているオンデマンド会員は、コンテンツ強化や機能拡充により今後も伸ばしていく見込みです。

「追っかけ機能」や、WiFiがない場合の視聴に対応した「番組ダウンロード機能」はそれにあたります。

二つ目は、広告費

先の問題解決の部分でも述べましたが、AbemaTVは良質なインターネット広告を生産するためのプラットフォームとして作られました。

AbemaTV内での広告の形態は、通常の番組の途中に入れるほか、終日広告を流す広告専門のチャンネルなども作り、独自の広告手法も開発しています。

そのため、ネット広告ではスキップされやすい広告が、AbemaTVでは80%の確度で最後まで見ているというデータもあるようです。私は、流し見をしている人が大半なので視聴者が気にしていないのだろうと受け取っています。

ただ、広告費を収入源にするためにはプラットフォームとして、かなりの集客力が必要で、当初の設立からマネタイズのポイントは1000万WAUという目標設定のもと現在まで投資を重ねてきました。

2019年後半以降、週次のアクティブユーザー数が安定的に1,000万を超えるようになってきたので、やっと収益化できる体制が整ったといえるレベルまできたのです。

1000万WAUというと、日本の人口は1億2595万人(2020年3月時点)であり、日本全体の7.9%の人が見る計算になります。途方もない人数ですよね。

しかし、新興メディアとして独自のポジションを築いた一方で、コンテンツ拡充のための先行投資は負担が重く、AbemaTV事業に関わる営業損失は2016年100億円、2017年209億円、2018年208憶円を計上しており、2019年も203億円と赤字を積み重ねてきました。

改善策として、2018年10月に電通および博報堂DYメディアパートナーズとの資本業務提携(出資比率は電通が5%、博報堂が3%)も行いました。広告拡販やコンテンツ調達で連携を深めるのが主な目的ですが、まだ効果は出ていないようです。

そして、今回藤田社長は「毎年AbemaTVは200億円程度の営業赤字を出すことを容認していたが、今年はその額を減らす」と明言しました。

今後よりマネタイズを強化し、収益の柱にしていく態度を示しています。

その一環として、放送外収入として、ショッピングや公営ギャンブルの配信・券売など、多角的にビジネスモデルを成立させる計画を示しています。

サイバーエージェントグループには、WinTicket(ウィンチケット)という、競輪のチケット販売をやっている企業があり、そこと協力した取り組みになります。

メディア事業は本当にここまでの赤字なのか?

藤田社長は、メディア事業で、200億円の赤字を公表している理由として、他社がこの分野に参入することへの牽制と、営業利益が横ばいの理由はAbemaTVへの先行投資だということを、株主に説明する責任があるからと、言っています。

私はこのメディア事業で計上される赤字には懐疑的です。

というのも、AbemaTVにはサーバーエージェント内の他の事業にもシナジー効果があり、実際にも下記のような形で、彼らの事業の売上に間接的に関わっているからです。

まず、メディア事業が提供するAbemaTVの広告は、インターネット広告事業が販売しています。

これはテレビ朝日との兼ね合いもあるので度合わかりませんが、サイバーエージェント社内で、メディア事業の売上額とインターネット広告事業の仕入れ額を調整できるということです。

極端に言えば、会計上の数字上は、AbemaTVからの仕入れ値を0円とすることも可能なのです。

仕入れた広告の販売価格は、電通などの他の大手広告代理店に配慮しているはずなので、市場価格と大差ない価格で販売していることが予測されます。そうすると、広告事業のほうにかなりの利益が見込まれますよね。

また、ゲーム原作の新作アニメをAbemaTVで配信する場合、宣伝枠を自社内で融通することが可能になります。その場合の宣伝枠の価格設定も自由にコントロールができるはずです。

AbemaTVは他事業の売上ブースト装置?

サイバーエージェントはAbemaTVをほかの事業のブースト装置として使っているのではないかという仮説を営業利益率の変化から読み解いていきたいと思います。

営業利益率の推移をみると、やはり、AbemaTV設立後の営業利益率がかなりブーストされていることがわかります。確かに、その当時のヒット商品の存在などにも理由があると思いますが、そのヒットを支えたのがAbemaTVだったのではないかと思えてしまいます。

AbemaTVを赤字と見せなくてはいけない理由は、競合の参入を防ぐためと、自社他事業の採算性を健全に見せるためかもしれませんね。

ここからマネタイズを本格化する宣言を藤田社長がされたのは、それだけの潜在能力を既にAbemaTVが持っていることと、他事業の業績の陰りをカバーするために、マネタイズせざるを得ないのかもしれません。

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