ビジネスモデル事例集

衝撃の「0円タクシー」!タクシー配車アプリMOVのビジネスモデル

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「0円タクシー」で話題になった次世代タクシー配車アプリMOVのビジネスモデルに迫ります。

次世代タクシー配車アプリ「MOV」は、株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」)が提供するが提供する、タクシーに乗りたい人と、乗せたいタクシーをテクノロジーでつなぐ次世代タクシー配車アプリです。

JapanTaxi株式会社とも事業統合し、配車可能な車両数は約10万台まで増やし、全国をカバーする幅広いネットワークを手に入れました。

MOVの歴史

実はDeNAのタクシー配車サービスの歴史はMOV以前から始まっており、2017年9月に「タクベル」として横浜市での実用実験からスタートしました。

配車アプリとしては、参入が遅れましたが、これまでのユーザーが持つスマートフォンなどの端末アプリとタクシーの無線機をつなぐ「無線機連携版アプリ」ではなく、タクシー車内にスマートフォンを1台置き、ユーザーのアプリとドライバーのアプリを直接つなぐ「アプリ連携方式」を採用したことで利便性を高め、競争優位を築いていきました。

2018年4月に、実験ではなく、正式なサービスとしてスタートし、神奈川県広域、東京23区などへ順次エリアを拡大していきました。東京でのサービス開始を機にタクベルからMOVに変更し、リブランディングを図っています。

この際に、「PROJECT MOV」の第一弾として、乗客の利用料金が無料となる「0円タクシー」を期間限定で実施したことが話題になったのです。

MOVが解決しようとしていること

では、なぜ、DeNAはMOVを立ち上げたのでしょうか。実はこれには理由があったのです。

厚生労働省の発表によると、タクシー業界の自動車運転手職の有効求人倍率は3.09倍と、全体平均の2倍以上となり、労働力不足が深刻な状況となっています。

労働力不足の要因として、歩合制による収入、長時間の勤務体系などへの不安が考えられ、その解消が課題となっています。

そこで、リサーチしてみたら、月14日勤務であったり、大手のタクシー会社であれば年収500万円前後稼げるなど、いい情報ばかり目についてしまいます。

もう少し深く調べていくと、カラクリがわかってきました。

基本的にはタクシー運転手の一日は朝10時出勤→休憩時間3時間→翌日朝4時運転業務終了となるようで、出勤してから18時間の労働となります。

日をまたぐ勤務の場合翌日は働いてはいけないという国のルールがあるので、翌日は休み、つまり、月の勤務は14日、ただし、労働時間的に考えると28日分は働いているので、全く労働がない実質の休みは月2日か、3日になります。

さらに、運転時間外の時間も、これにプラスアルファでかかってくるようです。

また、一日のノルマもあり、ノルマに届かないと歩合率が半分になることもあるようです。そして、ノルマ設定も高いことが多いので、一日20時労働してやっと稼げるということもざらとのことです。

やっと、労働力が不足する実態がわかってきましたね。

これをテクノロジーの力で解決するために、MOVが立ち上げられたのです。

MOVが導入したテクノロジー

主に2つのテクノロジーを導入しました。

一つ目は、「お客様探索ナビ」です。

従来、タクシー乗務員は各個人の経験や知識をもとにいわゆる「流し」の営業走行をしていたため、収益に個人差が生じていました。

そこで、この技術を活用することで、道に慣れない新人の方でもすぐに一定以上の収益を上げることが期待され、歩合制でも安心して就労することができます。

また、効率よく収益が上げられることにより、短時間労働などタクシー乗務員の新しい働き方に繋がることが期待されています。

2つ目は、「MOV配車システム及び決済システム付デバイス」の配備です。

このデバイスを利用することで、お互いの現在地を確認し、コミュニケーションできるため、乗客と効率よく出会えるようになり、時間をロスすることがなくなります。

また、車内決済だけでなく、ネット決済にも対応しているので、降車時の煩わしい支払い・領収書受け取り等の手続きが不要となります。

現金をあまり持ち歩かない主義である私としても大変助かります。

さらに、後部座席で客がニュースや交通情報などが見られるタブレットなどを備え付けるなど、タクシーの総合的なスマート化を実現していっています。

MOVのビジネスモデル

さて、今回MOVは「0円タクシー」、つまり、期間限定ではありますが、無料でのサービスを行いました。

今後どのように収益化するのかビジネスモデルを考えていきましょう。

まず、「0円タクシー」を広告枠として販売し、広告主が支払う宣伝費のみから収益化するという方法について試算してみましょう。

参考にするのはアドトラック(広告宣伝できるラッピングトラック)の相場です。

実際には、広告掲載期間、運行エリア、運行時間、駐車場料金、車両燃料費、道路使用許可申請日、デザイン審査済証明発行手数料などにより、変動します。

アドトラックで最も使われる照明付き4トントラックの30日間の広告宣伝費をみていきましょう。

30日間の宣伝で、300万円から400万円の費用が掛かります。タクシー一台当たり1トン程度なので4分の一の75万円を広告宣伝費による収益として考えていきます。

そこから主要な運用コストを引いていきます。

ラッピング制作費用:15万円
人件費:35万円
燃料代:11万円(一日走行距離280キロ分の3920円×28日)

合計61万円

細かいコスト計算はしていませんが、14万円黒字化しました。黒字化するとは思っていなかったので少し意外でした。

ただ、実際にラッピング乗用車に対しての需要はあるのかというと、首をかしげざるを得ません。需給バランスで価格はいくらでも下がる余地があります。

では、DeNAはMOVがそのような収益リスクを含んだまま営業するのを許容するでしょうか?

答えはNOです。

DeNAのコメントからも、今回MOVで実施した「0円タクシー」はマーケティングの一環であり、広告モデルを導入するための布石だったことがわかっています。

では、彼らのビジネスモデルの本質は何なのでしょうか。

それは、あくまで「タクシー会社をサポートするサービス」であるということです。

「0円タクシー」であたかもタクシーを運用していくように見えてしまいましたが、そこは本質ではなかったのです。

彼らが目指しているのは「現在のタクシー会社になること」ではなく、サポートサービスを提供しながら「将来の自動運転タクシーを運用する」データを集めることにあるのです。

そのために現在は下記の収益を「タクシー会社」から得ていく流れを作っています。

・MOVアプリ利用配車手数料
・機器使用の月額料
・広告運用料
・AIサポート料金

MOVの課題

MOVのビジネスモデルを拡大していくためには、いかに多くのタクシー会社と提携して自社サービスを使ってもらえるかがカギになってきます。

しかし、競合も多く、大阪ではソフトバンク陣営の中国・滴滴出行ウーバーが配車サービス事業に乗り出し、東京では、ソニー系の「みんなのタクシー」も参入し、タクシー会社争奪戦が現在行われています。

そのため、自社サービスの質を向上させ、「タクシー事業者売上向上」の実績を競合他社に先んじて打ち立てるべく日夜邁進しています。

乗りたいときに、確かに、つかまる。次世代タクシー配車アプリ MOV《モブ》

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