ビジネスモデル事例集

AR×GPS情報:ポケモンGOの革新的ビジネスモデル

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現在80か国にリリースされており、先月も100万ダウンロード、売上23億円を記録しているポケモンGOについて、本日は触れていきます。

昨年2019年の売上は世界規模で約394億円、リリースされてから、これまでの全世界累計売上は約2,780億円に達しました。

調査会社センサー・タワーの調査では、2019年度『ポケモンGO』の売上は米国がトップだったことを発表しました。

ポケモンブランドは日本だけではなく、世界規模でも受け入れられている模様です。

ちなみに、Pokémon GOとは、自分が現実世界にいながら、ポケモントレーナーとして、ポケモンを探したり、捕まえたり、バトルできるゲームです。

もちろん、ポケモンは現実にはいないので、実際の風景に仮想のキャラクターを重ねて表示する「AR(拡張現実)」の技術が導入されています。

GPS機能を活用することにより、 現実世界そのものを舞台としてプレイすることを可能にしました。

また、操作性も簡単で、画面をスワイプまたはタップするだけでよいので、子供から高齢者まで多くの客層に親しまれています

高齢者はエクササイズ目的での使用から入り、はまっていく人もいるようです。

ポケモンGOの周辺会社

実は、あまり知られていないのですが、Pokémon GOの開発は、米Niantic社(ナイアンティック)が行っています。任天堂ではありません。

ナイアンティックとは、2010年にグーグルから独立したベンチャー企業で、2012年には位置情報サービスを使った人気ゲームIngress(イングレス)を公開しました。

ナイアンティックの創業者ジョン・ハンケ氏は、Google Earthを開発した経歴を持ち、Googleマップを始めとした位置情報サービスを統括する部門責任者をも務めていた凄腕です。

Ingressは、現実とゲーム内の地図が連動するというシステム形態をとっており、
そのシステムをベースに発展させたのがポケモンGOだったのです。

2015年には、ポケットモンスター関連の商品企画・販売を手がける任天堂の子会社「株式会社ポケモン」と、任天堂、そしてGoogleから2000万ドルを調達しています。

ポケモンGOのライセンス条件は公開されていませんが、iOS上でポケモンGOが課金を得るごとに、30%はアプリのプラットフォーマーであるAppleへと収益が流れるなど、影響範囲も幅広いビジネスとなっています。

ポケモンGOのビジネスモデル

ポケモンGOは、基本的には無料で遊べるゲームで、ゲーム内で一部課金要素もありますが、収益の源泉にはならないように設定されています。

基本的なスマホゲームのビジネスモデルは、一部の熱狂的なファンからいかに高額課金をひきだすかということが勝負になってきます。

その形態では「ガチャ」と呼ばれる有料のくじ引きが有名で、熱狂的なファンは、くじで入手できる希少アイテムを入手するために、数百万円単位でお金をつぎこみます。

こうしたユーザーの「中毒性」は社会的にも問題になっており、ポケモンGOではこのような要素を極力排除して設計されています。

では、一体どのようにしてポケモンGOは収益化しているのでしょうか。

それは、「企業からの広告費」で収益をあげているのです。

具体的に説明していきます。

ポケモンGOの世界には、「ポケストップ」と呼ばれる、アイテムを入手することができる場所があります。

プレイヤーはゲームを進める行程で、必ずこの「ポケストップ」に立ち寄る必要があります。

ゲーム内では、「ポケストップ」であっても、リアルの場では「多くの人が立ち寄れる場所」であり、ポケモンGOの利用者が多い地域では、自然にプレイヤーが集まるスポットができることになります。

この「多くの人が立ち寄れる場所」に指定される権利をポケモンGOは販売しているのです。面白い発想です。

スマホゲームは、いままでBtoCの消費者から収益を得るモデルでしたが、ポケモンGOはBtoBという、企業から収益を得られるモデルを構築した点で革新的だったのです。

企業側も、必ず来店するかもわからないチラシの配布に資金を投下するよりは、必ず人が集まり、さらに、入店した時点で課金されるほうを選びます。

レストランや小売店などの店舗へ集客したい企業から広告費を得て、ポケモンGOで「店舗来訪時」アイテム獲得キャンペーンを実施することになります。

ポケモンGOへの広告主として、日本マクドナルドやセブンイレブンなどが有名です。

少し計算してみましょう。

440万人のユーザーうち、月に20回以上アプリを起動するヘビーユーザーが約100万人(18年8月時点)なので、セブンイレブン日本全国一斉開始イベントで、ヘビーユーザー全員がイベント時にセブンイレブンに来店するとなると、簡単に計算しても一人当たりの客単価700円×100万人=70億円の増収効果がセブンイレブン全体にもたらされることになる。

2017年のインタビュー記事及びナイアンティックから出された当該記事に対する訂正文書によれば、パートナーとの関係は以下のようなビジネスモデルであるようです。

「提携パートナーは、1店舗への1日の誘導来客数につき、0.50ドル以下をナイアンティックに支払う」

ポケモンGOがイベント時に、100万人誘導したとすると、50億円相当がナイアンティックに転がり込んでくることになります。

また、広告ビジネスだけでなく、膨大な顧客のアクセスデータが蓄積されていくことになるので、そこから更なるサポート事業を立ち上げることで収益を増加させることが可能です。

ポケモンGOビジネスモデルを支える「ポケストップ」の背景

ここまで読まれた方で、今後は似たようなモデルで多くの競合他社が参入してくるだろうと考えられた方もいるのではないでしょうか。

実際に、ドラクエウォークなどの新たなゲームは出てきていますが、その他には、めぼしい競合が見つかりません。

これには理由があるのです。それは広告拠点作成による高収益モデルを支える「ポケストップ」の存在です。

「ポケストップ」は、Ingressにおける「ポータル」拠点をすべて引き継ぐ形で作成されたのですが、このIngressの「ポータル」拠点数の多さ、細かさが、「ポケストップ」設置戦略の幅を大きく広げてくれたのです。

この背景には、Ingressの熱狂的なファンの貢献がありました。

「ポータル」は、Ingressのユーザーが申請し、ナイアンティックが許可すれば設置されます。

自分の好みの場所に「ポータル」を作りたいIngressのユーザーの地道な活動により、痒いところまで手が届く、現在の「ポータル」及び「ポケストップ」ネットワークが構築されたのです。

つまり、我々が通う「ポケストップ」は、ほぼ全てがIngressユーザーの血と汗によってできたものといえるでしょう。

ここまでのネットワークは新規参入企業には容易に作れるはずもなく、安易に参入した企業は、ゲームに深みをだせず、撤退していくことになります。

ポケモンGOの課題

ポケモンGOのユーザーはまだ残っているとはいえ、一時期のピーク時に比べると全世界的には10分の1以下まで減少してしまいました。

ピーク時では、月間使用者数が1億5千万人いたユーザーが、2018年10月時点では1100万人まで減少しているというデータがあります。

ポケモンGOはブームの収まりとともに一般ユーザーは去り、ヘビーユーザーのみが残っている状態です。

広告としての価値は、ユーザーの動員数にあるため、ポケモンGOの広告価値自体は減少しているといえるでしょう。

そのため、ポケモンGOとしては、新規ユーザーの呼び込みまたは一度遊んだことがあるユーザーのリターンを狙っていかなければなりません。

その対策として、現在「アップデート」と「イベント」という2つのアプローチでプレーヤーを増やしていっています。

ただ、私としては、「5年後に月間利用者数がTop100以内に残れるタイトルはたったの14%しかない」ともいわれる、ライフサイクルの非常に速いゲームアプリ市場の中で、今後もゲームアプリとして存在し続けることは難易度が高いと思われます。

今後生き残り、さらに拡大していくのであれば、SNSや動画投稿サイト機能も付加するなど新たな日常的に使用するプラットフォームとして進化していく必要があるのではないかと考えています。

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