無料でネットショップを開けるアプリとして多くの人に驚きを与えたBASE株式会社が、2019年10月25日東証マザーズに上場しました。2020年2月時点で90万店を超えるショップを抱えるまでに成長しています。
そして、2020年3月末に公開した有価証券報告書で1株当たり純資産額が黒字化し、より多くの資本を投入できる準備が整えています。
では、話題のBASEとは、どんな会社なのか見ていきましょう。
BASEの問題解決
BASEの革新的な問題解決から紹介していきます。
彼らが達成したことは、ネットショップを始める際に、障害となる初期導入費用、運営費用を無料にし、「誰も」が簡単にネットショップを始められるようにしたことにあります。
以前はネットショップを始めるためには、HP作成と決済システムなどのプラットフォーム費用が必要で、一つのネットショップの作成に300万円以上かかることはザラでした。
そんな初期費用と設定の手間から多くの中小の経営者に敬遠されてきたという背景があります。
今回のBASEの躍進により、いままでネットショップに踏み込めなかった経営者だけではなく、会社を持たない全ての個人に対しても、門戸が開かれたため、ECマーケットの更なる盛り上がりが期待されます。
2019年3月のBASEアンケート調査によれば56%のネットショップが一人で運営されていることがわかっています。
上記の2020年2月に行われた決算説明会資料からは、取り扱い商品の半分以上がファッション系ですが、残り半分は、エンタメ・ホビーをはじめ、多様な商品群が取り扱われていることがわかります。
また、商品は必ずしも「物質」に限られず、「コンサルティング」であったり、「スポーツコーチング」、さらには「雑談」なども値付けして商品として掲載できます。そのため、素人の私でも商品を作ることができました。
インフルエンサーの方は、インスタグラムなどのSNSとBASEを連動させ、個人でも企業の売り上げを凌ぐレベルで稼ぐことができるようです。
今後の商売のあり方を変えていきそうですね。
BASEのビジネスモデル
さて、無料で人々がサービスを利用できるようになったことはいいのですが、では肝心のBASEはどのように収益をあげているのでしょうか。
BASEの収益源は大きく二つあります。一つは、売買時の取引手数料3%、そして、二つ目は決済時の決済手数料3.6%+40円です。
売買時の取引手数料はプラットフォームの利用料金として理解しやすいかと思うのですが、決済手数料とは何なのでしょうか。
この背景には、ネットショップを始める際に、ネットショップとは別に、決済機能を用意しなければならず、決済会社との間で、個別契約の締結や銀行口座の用意などの煩雑な手続きをしなければならないことがあります。
「BASE」でネットショップを開いたオーナーは、決済会社との個別契約などの面倒なことをする必要がなく、「BASEかんたん決済」の利用で決済機能を獲得することができるのです。この決済機能は「PAY.JP」として別事業としても展開しています。
これらの内容をまとめると、「BASE」のビジネスモデルは下記のように書けます。
収益=
(取引利用額3%+決済手数料3.6%)×決済利用額+40円×決済回数
競合他社とは異なり、変動費でビジネスを行えるので、個人の生活環境にダメージを与えないように配慮されていることがわかります。
BASEの課題
そのかわり、彼らのサービスの料金は、売上があるオーナーが全て負担することになってしまいます。ある程度の規模になった時に利用額に対して、6.6%というのは少ない額ではありません。
初心者として参入される方にはいいかもしれませんが、参加されたオーナーのビジネス規模が大きくなると、自分のネットショップを作ってしまい、支払いサイクルも早く、決済部分だけ手数料3.25%の「Square」に頼もうなどとなってしまうこともあり得ます。
現段階でのBASEの支払いサイクルは、振込申請をした日から10営業日(土日祝除く)にショップ指定口座に振込まれます。さらに、新しく振込までの期間を最短翌営業日に短縮できる機能も追加しました。
ただ、ショップ指定口座へ売上金を振込む際に、振込申請ごとに、以下の振込手数料と事務手数料がかかることになります。(2020年4月20日BASEホームページ参照数値)
【振込手数料】 一律250円
【事務手数料】2万円未満の場合:500円、2万円以上の場合:0円
支払いサイクルや手数料金額については、すごいスピードで改善されているようなのでここは今後の動向に期待できるかと思います。
参加しているショップの規模感に目を向けてみると、2019年12月時点での「BASE」1ショップ当たりの平均月間流通総額は14万円超となっています。
2017年3月の8万5千円前後であったことを鑑みると、参入しているショップも大きくなっているように感じられます。
下記のショップ設立年別の流通総額(GMV)をみると、開設ショップを増やし、流通総額≒決済額を積み上げていくことで、決済額に対して収益を積み増していく姿が見て取れます。
ただ、同時に、2016年以前に設立されたショップ群の流通総額は減少していることがわかりますよね。
つまり、現在「BASE」は、新規参入者をいかに増やしていくかと同時に、どのようにオーナーを囲い込んでいくのかを課題として動かなければならないのです。
その課題への対策として、外部サービス運営会社と組んで作成した「BASE」ショップに組み込める「SEO対策」アプリであったり、「インスタグラム販売」アプリ、さらには、ヤマト運輸と提携した「かんたん配送」アプリなど高機能のアプリをどんどん拡充しています。
そして、「将来発生する債権を買い取る」ことにより、事業資金を提供する事業資金の融資サービス「YELL BANK」、リアルな場での販売機会を提供する「SHIBUYS BASE」「TENJIN BASE」などオンラインの活動の枠を超えたサービスも提供しはじめています。
オーナー側目線のかなり手厚いサポートが拡充されて行っていると思います。
今後も、個人で運営していては考えもつかないアイデアや経営サポートツールが提供され続けることで、バリューを出していってくれると期待できると思います。
ショップ作成は、無料で、しかも30分もかからない内容になっています。もし、自分のオリジナル商品を販売することに興味がある人は「BASE」を試してみてもいいかもしれません。
以前私は自分の商品を作る術が思いつかなかったのでAmazonの小口事業者として中国商品を輸入してAmazonで販売しました。
その際は、中国の方との連絡、輸入先の日本の倉庫関係者との連絡、Amazonへの商品登録手続きなどがあり、販売できるようになるまでに3週間程度かかりました。
また、やり取りだけでなく、各種手数料さらには回収できない手付金などもあったため、最終的には赤字になってしまいました。
いまは、モノを販売する必要もなく自分の経験を出品できているので無理する必要もなく大変ありがたいです。
あなたも、売りたい商品はないけど、商売を始めてみたいという場合は、自分のオリジナル商品を「BASE」で作ってみてもいいかもしれませんね。