近頃、原泰久さんの漫画「キングダム」のブームを皮切りに、中国古代戦国時代ブームがきているように感じます。
私も中国古代戦国時代の熱狂的ファンで、ファン歴としては、小学6年生の時に出会った吉川英治さんの「三国志」から始まっているので、二十年以上となります。
いまでも、良質な中国古代戦国時代本を確保するのがするのが難しいので、いつも本屋を見つけると新しい作者が生まれていないかチェックしています。
そんな私がキングダム好きの友達にいつもお勧めしている中国古代戦国時代の著者とその作品を紹介していきたいと思います。
1.北方謙三 最高に面白い「水滸伝」シリーズ
私は、この作品に出会ってしまったため一時期大学を不登校になりました。面白すぎてページをめくる手が止まらず、大学に行っている暇がなかったのです。
北方さんのかかれる中国古代戦国時代のシリーズ本は、非常にロジックがしっかりしているのと、各キャラクターの人間的魅力が合わさってとてつもない衝撃を読者に与えます。
そのなかでも、北方水滸伝は最高峰で、本来中国の「水滸伝」はファンタジー色が強いものなのですが、北方さんは見事にその色を抜き去り、国とは何か、経済とは何か、生きるとは何か、などといった私たちの普段の生活にまで示唆を与えてくれる内容になっています。
「水滸伝」の内容としては、腐敗した宋を倒し、新しい国をつくるため同志を集め立ち上がった人々の国との戦いの物語です。
戦いの内容も、武力闘争だけではなく、経済を用いた戦争という概念も含まれており、非常に読みごたえがあるものになっています。
ちなみに、私の北方水滸伝一押しキャラは「燕青」です。
北方水滸伝シリーズは一生に一回は見ておいて損はないと思います。
2.宮城谷昌光「楽毅(がっき)」
楽毅は、春秋戦国時代の斉、秦の二強国時代に、斉の70余の都市を落とすなどの痛恨の一撃を与えた代将軍で、秦一強時代へのきっかけを作った人物といえます。
彼はそもそも、中山国という燕と斉と趙が接する所にあった小国に仕えていましたが、国を滅ぼされ、流浪の末、燕の昭王に見出され、着々と実力をつけていきました。斉との大決戦が人生のクライマックスになっています。
楽毅は三国志の諸葛亮公明からも畏敬の念を覚えられているほどの文武両道な将軍で、作品内に出てくる戦略・戦術も見ものです。
私が好きなシーンは、火のついた油の甕を投げ入れるところです。
今回はとっつきやすい「楽毅」から紹介しましたが、宮城谷昌光さんは中国春秋戦国時代の良質な本「孟嘗君」「太公望」などたくさん書かれているので是非深堀していってください。
ほんとは、ハードカバーで「孫子」という孫武と孫臏の生きざまについて書かれた本をお勧めしたかったのですが、作者名が思い出せずに、断念しました。
ただ、この本で特に印象に残ったのは、孫武がどのように孫子の兵法をつくったかで、彼は昔の言い伝えなどをもとにすべての土地をまわり、偉人の戦略を実地で検証したんです。
そこから帰納法で孫子の兵法を作り、教えを説いたとしているところがぐっときました。諸葛孔明もそうなんですが、現場の細かい情報を集め、自分で検証するところにしびれるんですよね。