米国不動産

不動産エージェントという職はなくなるのか?

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近頃米国不動産業に触れることが増えたのだが、投資家としても危惧を覚えた点があるので下記に記す。

①賃貸管理業:収益とリスクのバランスはとれているのか?(特に、個人のエージェント)

10億円の物件を一棟管理してどれくらいの収益があるか、想像したことがあるだろうか?
600万円である。

しかも、粗利で。経費がさらにかかることに愕然する。

基本的に不動産業者の収益である管理費はgross incomeの6-8%前後(物件の大きさによって変わる)、さらにそこから、経費が差し引かれる。

管理費で40%程度消し飛び、残るのは360万円程度。

少なくとも3棟、このような大型物件を取らないと現場作業に追われる日々から脱せられないのではないかと思うが、個人でこのような機会に巡り合うことはめったにないので、大抵は戸建て住宅の年間50万円程度の管理費を積み上げていくことになる。

物件管理というと、のんびりできそうだが、日本以上にトラブルが多く(おそらく中古市場であることも一因となっている)、有能なhandy menへの支払いも少なくなく、一撃死の可能性のある訴訟リスクをなんとかさばいてのこの利益は個人事業主でやるには厳しいのではないか。

どこかに抜け道があるのではないかと、もう少し細かく賃貸管理業者への支出をみていくと、管理費以外では、修繕管理委託費用、入居者入れ替え時の集客委託費用などがある。

さらに、裏収入として、事前にテナントから回収している敷金もある。

これらで稼いでいるのか?検証してみよう。

・アパートの一室(月20万円)で賃貸業者が得られる収入
通常:月次収入1万6千円×12か月=19万2千円
入退去時:集客代行6千円、敷金からの工事費利益5万円(空室時管理費収入なし)
修繕費用:大型だとオーナーに見積もりを確認するため上乗せは難しい

入退去を頻発させて裏敷金収益を積み立てるモデルを考えてみたが、空室時は管理費が入ってこないため、この場合3か月以内に入居者を決めないと利益が出ないし、そもそもグレーゾーンであり、必ずお金を抜けるという確証はないので仕組みとしては貧弱だろう。

なので、オーナーとの利益相反はなく、やはり、管理費収入がベースとなりそうだ。

これでは、個人事業主が賃貸管理する場合、管理者が駆けずり回らなければならなさそうで、(実際駆けずり回っている方を見ている・・・)

もしこの人が動けない状況に陥った時、自分の物件はどうなるんだと、不安になる。

組織化して、お抱えの施工部隊、間接部門をうまく活用しないと長期的な事業として成り立たない業種なのかもしれないと感じた。

もちろん、賃貸管理はおまけで売買のコミッションが本業から大丈夫だという人もいるのは周知の上である。

では、仲介についてもみていこう。

②競合が激しく、不安定なだけでなく機械化の波にさらされつつある米国売買仲介

不動産の花形といえば売買仲介。

10億円の物件の購入・売却に携わったエージェントは、物件価格に対してコミッション3%(10億円の場合は3000万円)を獲得できる。

そんな時代もあと少しかもしれない。

発端はMLS(日本でいうレインズの超上位互換)の登場にある。

MLSには、基本的に米国物件情報を全て載せなければいけないという法律で定められており、不動産関係者だけでなく、顧客も同様に、不動産情報サイトでプロと同質の情報を得られる。

情報格差が圧倒的に少なくなった。日本のような隠し物件は滅多に存在しない。あったとしても、開示できない理由があるとして、流通しにくい。

こうなってくるとエージェントを選ぶ基準となってくるのは、専門性が高く、実績がある人である。

専門性をその人が持っているかどうかはぱっと見でわからないので、取引を実行してきたという実績が一番重要視される。

じゃあ、実績をつくればいいじゃん、と思うだろうが、誰が無名の人に自分の大事な物件を預けるというのだ。

つまり、誰にももらえないから実績が作れないのだ。そうなると、実績がある人がやらないような儲からない仕事しか回ってこないことになる。

エージェントのライセンスを取り、新規に不動産仲介業を始めようとしたら5年間くらいは生活していくのがやっとというのが実情のようだ。

優秀な米国人の新卒はまず踏み込まない・踏み込みたくない領域なのである。

商業分野はまだいいが、居住物件を紹介するエージェントには特殊な傾向がみられる。
居住物件を紹介するエージェントがほぼ女性なのだ。

なぜかというと、不動産仲介は収入が不安定になりがちなので、夫が安定した収入を得る職に就き、妻がボーナスを狙っていくという位置づけだからである。

確かに、不動産仲介でかなりの収入を得ている男性もいるが、それは経歴でブランド化し、常時話が舞い込んでくる環境を作れた数少ない成功例だろう。

近頃は、その取引の仲介すらオンライン上で実行できるようになってきて不動産業界をざわつかせた。

機械が実績を蓄え始めたのである。

投資をするにしても業界の流れにも注意を払っておきたい。

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