ビジネスモデル事例集

インテリア通販サイト「FLYMEe」の売上がなぜ倍増するのか?

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2011年にサービスを開始してから圧倒的な成長率を誇るインテリア通販サイト
【FLYMEe/フライミー】を皆さんご存じでしょうか。

自分のイメージするインテリア、本当に欲しいインテリアがどこにあるのかわからない」という顧客の課題を解決するため、世の中にある知られていない素晴らしい家具の情報を届けることを目標に運営しているサイトです。



デザイナーズ家具や北欧家具など500以上のブランドを取扱う日本最大級の家具・インテリア通販サイトで、実店舗ゼロにも拘らず、ここ数年、売上高が2倍程度で成長しているようです。

インテリアの通販サイトは、リクルートライフスタイルなど大手も参入していたマーケットですが、どちらも撤退しています。

なぜFLYMEeだけ成長し続けているのでしょうか。

リクルートライフスタイルが運営していた「タブルーム」の役割は、「家具を探しにくい」という顧客の問題に対して、事前に、探している家具をネットで検索でき、その家具を取り扱っている店舗を紹介することと定義していました。

リクルートスタイルが提供しようとしたのは、通販サイトではなく、マッチングサービスだったんですね。

その意味ではFLYMEeと比較するのは、少し筋違いのような気もします。

私は、FLYMEeがECサイトでの販売を成功させている要因は、3つあると考えています。

1.商品の品ぞろえ

500以上のブランドをを取り扱い、2万点以上の商品をそろえています。

そのため自分の気に入るものが見つけやすく、設計事務所、内装会社、コーディネーターといったプロが、カタログ代わりにサイトを使うケースもあるようです。

さらに、FLYMEeを利用することで、複数ブランド商品を一括で注文できるので、複数のブランド企業に連絡する手間が省けます。

取り扱いがある有名ブランドとしては、ニューヨーク発の世界的ファニチャーブランド「Knoll / ノル」があげられ、しかも、FLYMEeの限定販売となっています。

FLYMEeが扱うブランドの4割は、オンライン上で、このサイトでしか購入できないといいます。

2.システムの内製化

FLYMEeのシステム内製化には2つの差別化要因が含まれています。

一つ目は、ユーザビリティーの向上にあります。色、家のテーマ(和風など)、シーン(利用する場所:リビングなど)でカテゴリーを分け、使用するインテリアを紹介しているためとても使いやすい構造になっています。

二つ目は、セレクトしたブランド群それぞれの世界観を壊さないように、徹底してサイトそのものが持つイメージを排除してデザインされている点です。これが、FLYMEe限定のこだわりのブランドを増やし続けられる一因となっています。

3.顧客層の変化

主な利用者は、30代が一番のボリュームゾーンとしています。ここから、結婚や家の購入などの転機での購入が多いのではないかと推察されます。

彼らは、一昔前と違い、服や靴などでECを利用するように、EC利用での購入に抵抗がない年代で、今後その数も増えていくことが予想されます。

ちなみに、FLYMEeで「デスク・パソコンデスク・袖机」と検索してみると、208件のヒットがあり、商品の最高価格は142万円7800円、10万円以内のものは65件、5万円以下のものは33件と決して安い買い物ではないことがわかります。

それでも、購入に踏み切らせているところに感銘を覚えました。

また、顧客教育も実施しており、インスタグラムのFLYMEeページでは、1730件の生活空間を提案する美しい写真が並んでおり、その写真を見るために、4.1万人のユーザーがフォローしています。

このような積み重ねから、良質な顧客基盤を作っていっているのでしょう。

ぜひ、#FLYMEe で検索してみてください。

では、ビジネスモデルからみて、FLYMEeは完全無敵かというと、そうとも言えないと私は考えています。

その理由は、在庫リスクです。

現在の集められた情報から、FLYMEeがどのようにメーカーとの契約を結び、仕入れを行っているかがわかりませんが、メーカーとの力関係から、在庫リスクを抱えざるをえないのではないかと推測しています。

そのため、メンバー限定のSecret Saleを行い、回転率が悪い在庫品を同時に処分していっているものと思われます。

売り上げの増加に対して、在庫の増加が大きく、商品の回転率が悪ければ、実際の営業利益は圧迫されてくることが考えられます。

サイト自体がパワーを持つことで仕入れ先との条件を今後改善していくことで利益構造は改善していくように思われますので、あとは、どれくらいの集客力を獲得していけるかにかかっているかと思います。

高級家具やに比べると人件費なども削減できるので、今後ニッチなマーケットで生き延びやすいビジネスモデルかと思います。今後に期待です。


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