時々売りに出されている不動産案件で 「マーケット価格にすると40%以上の収益が出ます」 とうたっているものがあるが、実際に購入後に収益が40%上昇するか?
答えはノーである。
まずはこのような事態になる構造を下記に示す。
・米国不動産では需要過多に伴い、物件価値が急上昇することがある。
・住居民を守るため基本的に公的機関が賃料規制をかけ、毎年の賃料の上昇率の上限を定めている。
・住居民の権利は厚く、契約違反を起こさない限り立ち退かなくてよい。
つまり、物件価値の上昇率と家賃値上げの上昇率に乖離があるため、マーケットの適正賃料に比べたら、実際に運用していている物件の賃料は各段に安くなる。
特に、リーマンショック時から借りている人はマーケット相場の半分以下の賃料という人もざらにいるようである。
大家も値上げしたいのだが、公的機関の規制があるので、一定の%しかあげられない。 不用意に追い出そうものなら起訴されておしまいである。
大家は首を長くして、居住者が退去するのを待つしかない。 なぜなら、居住者がでたら適正賃料に戻すことが可能にあるからだ。
ただ、現実は、甘くなく。居住者も、自分の賃料が市場の半分以下だということを知っているわけである。ちょっとのことでは出るわけがない。
こうした物件がマーケット価格40%以上の収益がでる物件といわれるのである。
なにか対策はないのか?
実は一つある、大型リノベーションをおこなうことである。
もちろんテナントには移転先の住居費などを支払ったうえでだが(目安1万ドル)。
さらに、問題なのはリノベーションにかかる費用だが、 米国業者では納期の遅延・経費の倍増はざらにある。 リスクが高すぎるし、つきっきりで監督しなくてはいけない。
日本から施工の専門業者をつれていった会社もあったようなのだが、施工制度に関しても細かい違いがあるようでいずれも撤退したそうだ。
なので現状では神に祈るしか選択肢がないそうな。